同調圧力が起こるのは日本だけ?同調圧力のメリット・デメリットと受け流す方法
日本に住む人であれば、誰もが一度は聞いたことがある「同調圧力」。
「本当はやりたくないのに、付き合いで仕方なく参加」
「みんながやっているから、取り合えず同じことをしておかなきゃ」
こうした行動は誰でもやってしまいますし、本記事の筆者も空気に飲まれ、流されるように地域の飲み会などに参加した経験があります。
また、みんなと違う行動をしている人を見たとき、反射的に「あの人何なの?」と、つい批判してしまった経験もあるでしょう。
本記事では、「同調圧力」が起きる理由や外国の事情、メリット・デメリットについて解説します。
見えない力によって大勢の人の行動をコントロールする「同調圧力」の正体とは、一体どのようなものなのでしょうか。
目次
- 同調圧力とは
- 同調圧力が起こる理由・背景
- 同調圧力の例
- イベントや飲み会などへの強制参加
- コロナ渦におけるハラスメント・魔女狩り
- 成功者叩き
- 日本以外の国の同調圧力
- カースト制による圧力があるインド
- 宗教的な圧力がかかるサウジアラビア
- 同調圧力のメリット
- 責任感が強くなる
- チームワークが向上する
- 不正を防止できる
- 同調圧力のデメリット
- 長時間労働の原因になる
- 多数派の目が気になる
- 意見が言いにくい環境になる
- 同調圧力の空気に飲まれないヒント
- メタ認知を意識
- 誰かの意見を鵜呑みにしない
- 自分を出せる場所を作っておく
- まとめ
同調圧力とは
「同調圧力」とは、多数派の意見に少数派を強制的に同調させ、他の行動や選択をさせないようにする集団心理です。
私たち人間には仲間外れや批判に晒される恐怖が根底にあり、祖先より受け継いできた集団性の本能を利用されているため、逆らうことが難しい圧力です。
会社や学校、地域の人間関係といったさまざまな場所で「同調圧力」は起こり、所属している集団が掲げているルールや目的に沿って圧力が発生します。
仮に会社での「同調圧力」で言えば、仕事が終わってるのに帰れなかったり、会議で意見が言いにくいといった状況に置かれます。
個人でみると無駄で不合理だとしても、集団に合わせるように強制されてしまうんですね。
同調圧力が起こる理由・背景
人々を特定のルールに縛りつける「同調圧力」ですが、どのような理由で起きるのでしょうか。
大まかな3つの理由を取り上げ、「同調圧力」が発生する原因を見ていきましょう。
・1人よりみんなを優先する集団心理
・出る杭を打ちたくなる人々
・【島国】日本という特殊な環境
上記の3つの項目に分け、理由・背景について解説していきます。
1人よりみんなを優先する集団心理
日本に住んでいると強く感じる「同調圧力」が、「1人よりみんなを優先する集団心理」です。
国民全体だけでなく、地域・家族・会社などにおいてもルールが設けられていることがほとんどで、法律とは別の規律「同調圧力」の力で「1人よりみんなを優先する」ことを強制されているのが現実です。
・第二次世界大戦中の日本のスローガン「欲しがりません勝つまでは」
・狩猟ではなく、みんなで協力し合う農耕を生活の糧としていた過去
上記2つの歴史の観点から見ても、日本人が起こす特に強烈な「同調圧力」が「1人よりみんなを優先する集団心理」だと言えます。
出る杭を打ちたくなる心理
誰かが勉強や仕事で成果を出した時、「出る杭を打ちたくなる心理」も日本人が起こしがちな「同調圧力」です。
和=集団を重んじる日本人は、集団の平均から抜き出る人に対して強い反感を覚えたり、その人を大人しくさせるため、逆風を作ろうとします。
前項で解説した「1人よりみんなを優先する集団心理」も関係していますが、多くの日本人は誰か1人が評価されたり、良い思いをする抜け駆けを良しとしません。
「出る杭を打ちたくなる心理」も、みんなで協力し合う農耕を糧としていた歴史が影響しており、取り分を全員均等にするべきという価値観が刷り込まれているため起きているんですね。
当然、出る杭になった人が叩かれる様子を見ることもあり、村八分や批判の的にされることを恐れた人々は、「出る杭を打ちたくなる心理」の「同調圧力」に屈することになります。
【島国】日本という特殊な環境
日本は島国であり、大陸上で面した国と国との問題や、さまざまな人種・宗教・価値観を持った多国籍な社会を経験したことがありません。
多様な価値観に触れたことがない日本人は、日本だけのルールで国を発展させてきた歴史があり、世界の中で考えると独自路線をいく村社会です。
ガラパゴス島など自然界でもそうですが、閉じた世界では特有の進化をしてしまうものです。
特に日本人に欠けている考え方が、他者の価値観や存在を認め、互いにあまり干渉せず尊重し合うことでしょう。
アメリカを例に出すと、アメリカには多様な人種・宗教・価値観を持った人々が生活しており、日本のような「個性を認めない同調圧力」で批判的になろうものなら、とんでもないトラブルに発展しかねません。
環境として1人1人の個性を尊重する価値観を持たざるを得ない事情があり、日本は逆に日本人だけで生活してきた歴史が長いため、個性を重んじる必要がなかったんですね。
出典:東洋経済オンライン 日本人は「みんなと一緒が好き」という大誤解
東洋経済オンラインが行った4ヵ国の高校生を対象にした「友達が私をどう思っているか気になる」調査によると、対象4ヵ国の中で日本の高校生が男女合わせると最も高い割合で「友達にどう思われているか」を気にしていることがわかりました。
周りの人の顔色を伺ってしまう癖は多くの日本人が持つ特性で、だからこそ「同調圧力」に流されやすいとも言えますね。
他にも出典元の東洋経済オンラインでは、実は日本人はみんなと一緒が好きなわけではなく、集団主義と個人主義の意識が合わさっていると指摘しています。
東洋経済オンラインの記事も大変興味深いので、本記事と併せてぜひ読んでみてください。
この項目をまとめると、世界の中で見ると日本は特殊な環境で、住んでいる日本人は他国の人々よりも他人の顔色を伺う傾向があると言えます。
同調圧力の例
「同調圧力」に関しては、みなさんもさまざまな体験をされてきたと思いますが、代表的なものにはどのような例があるのでしょうか。
・イベントや飲み会などへの強制参加
・コロナ渦におけるハラスメント・魔女狩り
・成功者叩き
上記3つの項目に分け、それぞれの「同調圧力」について解説していきます。
イベントや飲み会などへの強制参加
地域や会社における、「イベントや飲み会などへの強制参加」は頻繁に起こっている「同調圧力」でしょう。
かく言う筆者も、強制とは言われてはいないものの、「参加しないと後々何か言われたりして面倒になるなぁ」と思い、時間を作って参加した飲み会や行事があります。
こうした強制参加系の「同調圧力」はさまざまな場面で起こっており、会社・PTAや保護者会・親族の間など、生活圏のどこかで必ず発生しているものです。
もちろん、イベントや飲み会に参加することで仲良くなったり、新たな取り組みやビジネスなどに発展することもあるため全部を否定はしません。
しかし、参加すること・させることが目的化してるイベントや飲み会があることも事実でしょう。
私も、社交辞令的な会社や、PTA懇親会の飲み会苦手です。話を考えながら、会話しないと、下手すると会社などで痛い目に合うし、会話をキッカケにトラブルを招く自体にもなる可能性があるし、友達同士の方が気が楽です。
飲み会に行きたくない若手会社員の本音です。
意味があればまだしも、会社内の「同調圧力」で開かれている飲み会は負担なだけですよね。
もちろん出世や上司との関係にも影響しますが、飲み会の参加で決められてしまうのは不本意でしょう。
時間を細切れに使う現代社会において、強制参加は厄介な「同調圧力」だと言えます。
コロナ渦におけるハラスメント・魔女狩り
コロナ渦においても、さまざまな形で「同調圧力」は起こっています。
わかりやすく起きたものでは、「ワクチンハラスメント」と「魔女狩り」でしょう。
コロナワクチン接種は任意である、と公言されているにも関わらず、実態として未接種の人は村八分や批判の的に晒されています。
未接種では出社を禁じる会社も多く、コロナウィルスの感染云々だけではなく、人間関係や社会的ポジションに支障をきたさないことも接種の目的の1つにされ、強制に近い形で多くの国民が接種しています。
筆者としてはワクチン接種は肯定しています(接種済み)が、それぞれの考え方を尊重する土台があれば、「同調圧力」を使って接種を半強制させることは起こらないものです。
また、マスクをしてない人や飲み会をした人たちをSNSに晒上げ、みんなで袋叩きにする「魔女狩り」も起きています。
もちろん感染拡大を防ぐという名分はわかりますし、その通りだと思いますが、とは言っても完全な人間などいないわけで、間違った行動を起こす人もいるのが社会でしょう。
コロナウィルスへの対策については専門家の間でも意見が分かれる部分であり、間違いを起こした人を叩くより前に、それぞれがコロナについて調べ、理解を深めることを優先すべきでしょう。
成功者叩き
「出る杭を打ちたくなる心理」の1つですが、「成功者叩き」も日本に漂っている「同調圧力」だと言えます。
日本人のゴシップ好きの歴史は長く、古くは江戸時代の瓦版、現代では週刊誌や炎上目的のWEB記事などの人気ぶりから一目瞭然でしょう。
最近では芸能人をはじめ、いろんな業界の著名人のゴシップネタを公に晒す暴露系ユーチューバーも流行っていますよね。
誰か1人が評価されたり、良い思いをする抜け駆けを良しとしない日本人は、成功した人に対する嫉妬や不満が強く、何かにつけて引きずり降ろそうとします。
インフルエンサーや起業家たちのSNSを見るとわかりますが、叩ければなんでも良いとばかりに、多くの誹謗中傷や的外れな批判がコメント欄によせられています。
中にはゴシップを捏造してまで叩こうとする人までいるため、最近では侮辱罪が厳罰化(法務省)され、誹謗中傷について取り締まりが厳しくなってきています。
こうした「成功者叩き」によって成功をリスクに見せ、評価されたり、良い思いをする抜け駆けをする不届き者(まったく悪くないのですが・・・)を1人でも出さないようにしているんですね。
日本以外の国の同調圧力
「同調圧力」は日本特有の現象で、海外にはほとんどないと思われている方がいますが、「同調圧力」は日本以外の国でも起きています。
日本とは違った形ではありますが、暗黙のルールを強制し、足並みを揃えさせようとする法則は同じですね。
ここでは同じアジアであるインドと、中東の国サウジアラビアを取り上げ解説してみます。
カースト制による圧力があるインド
昨今目覚ましい経済発展を遂げているインドですが、カースト制の名残で身分によって自由に職業選択ができない「同調圧力」が存在しています。
カースト制自体は1950年に法律で禁じられていますが、階級を重んじる宗教に対する信仰心がベースとなり、色濃く残っているんですね。
カースト制の圧力は凄まじく、身分の高い人と食事をした下位カーストの者が、上位カーストの者に殺されてしまう悲しい事件も起きています。
日本の「同調圧力」も強烈ですが、殺されてしまうといった事態はほとんど起きないため、海外の「同調圧力」も脅威であることがわかりますね。
参考:世界史の窓 カースト制度
宗教的な圧力がかかるサウジアラビア
石油輸出国として日本でも知られているサウジアラビアですが、政府機関が発足している宗教警察により、宗教観に則っていない行いをする者を摘発して罰する「同調圧力」があります。
禁止されている行為は、お酒の販売・ペットとして犬や猫を飼う行為、バレンタインデーの禁止など、多岐にわたります。
インターネットも監視されており、日本のような1人1人が自由な価値観で行う発信も認められていません。
どの禁止条項も日本人から見たら信じられない内容ですが、信仰心の強いサウジアラビアではルールとして守ることが当然とされています。
あまりの締め付けの強さから市民のフラストレーションが溜まり、市民による宗教警察への集団暴行事件なども起きていますね。
日本ではこういった暴動が起きないあたり、世界でも屈指の「同調圧力」に向いている国民性なのかもしれません。
参考:Quora 日本よりも「同調圧力」が強い国はありますか?
同調圧力のメリット
問題視ばかりされる「同調圧力」ですが、逆にメリットとなる部分はないのでしょうか。
どのような物事にも良し悪しがありますので、メリット面から「同調圧力」を分析してみましょう。
・責任感が強くなる
・チームワークが向上する
・不正を防止できる
上記3つの項目に分け、「同調圧力」のメリットについて解説します。
責任感が強くなる
「同調圧力」の先にある批判や村八分などの効果により、仕事やスポーツなどに対する責任感が強くなることが「同調圧力」のメリットです。
集団性のある人間は、所属している集団から疎外されたり、多数の人から批判されることを恐れる性質があります。
みんなで協力し合って生き残ってきた人間の脳は、集団からのけ者にされること=死をイメージするため、集団内のルールに対して強い責任感を抱かせるんですね。
責任感が向上すると仕事やスポーツのパフォーマンスが上がることもあるため、「同調圧力」のメリットの1つだと言えます。
チームワークが向上する
互いの足を引っ張らないよう気を配り、チームワークが向上する点も「同調圧力」のメリットでしょう。
ミスによって周りに迷惑をかけ、集団内の立場が悪くなることを恐れるため、必死で互いの足並みを丁度いいラインで揃えようとするんですね。
自分だけ突出すると、できない人たちを置き去りにしてしまうため、チームワークを重視して低いパフォーマンスで合わせようともします。
仕事やスポーツなどはチームワークによって成果が上がる場面も多いですから、「同調圧力」のメリットとなります。
不正を防止できる
ズルや不正による抜け駆けを防止できるのも、「同調圧力」のメリットでしょう。
「コロナ渦におけるハラスメント・魔女狩り」の項目で書いた「魔女狩り」にも通じますが、ルールを守らない者を晒し首にする圧力によって不正を防止するんですね。
刑罰のある法律によって秩序を守るやり方と同じ構造で、不正を行うとみんなに叩かれる空気(罰)を作り、抑止機能として働かせます。
現実問題として社内の規定や法律だけではルールの抜け道があり、善意や個人の意識だけで不正を行わせないことは難しいですよね。
ズルや不正は会社や地域の公的な評判を落としたり、下手をすると違法行為にあたるようなリスクの高い不正も出てくるでしょう。
モラル欠如によるリスクを避けることができるのも、「同調圧力」のメリットです。
同調圧力のデメリット
ここでは「同調圧力」によって起こるデメリットについて解説します。
「同調圧力」が発生することにより、社会や個人にどのような不利益をもたらしているのでしょうか。
・長時間労働の原因になる
・多数派の目が気になる
・意見が言いにくい環境になる
上記の3つの項目に分け、「同調圧力」のデメリットについて解説します。
長時間労働の原因になる
みんなと同じ行動を取ることを重んじる日本人は、例え仕事が終わったとしても、誰か1人だけが先に帰るといった行動を許さない「同調圧力」を作りがちです。
合理性を無視し、ただ同じ行動を取らせるためだけに残業をさせる空気があり、こうした無駄な労働を経験した方も多いのではないでしょうか。
生産性や個人の幸福度の観点から見るとあきらかに害悪であり、仕事が終わった者から退社した方が日本社会にとって良いはずです。
しかし、病的なほどにみんなと同じ行動を強要する空気がまだまだ仕事現場を支配しているのが現実です。
私の部下で今年の4月に入社した新入社員がいます。彼はとても仕事ができ、与えられた仕事は全て定時前には終わってしまいます。それは素晴らしいことなのですが、彼は自分の仕事が終わったのをいいことに定時になると帰ってしまうのです。
30代の係長、部下を持つ上司の意見ですね。
冷静に考えると、今の新人社員に求められる仕事をこなしたのだから、定時で帰ることに何の問題もないはずです。
しかし、「自分の仕事が終わっても、他の人が働いているなら帰らないのが当たり前」といった空気は根強いものでしょう。
30代の係長の男性も、新人だった頃はそのように上司から教わってきたのでしょうし、ある意味では不合理な仕事観を刷り込まれた被害者だとも言えます。
何も生み出していない労働を押し付けてしまうのも、「同調圧力」の大きなデメリットの1つでしょう。
多数派の目が気になる
みんなと同じ行動を強いる「同調圧力」が起きていると、周囲の目が気になって行動が制限されてしまうのも「同調圧力」のデメリットでしょう。
「出る杭を打ちたくなる心理」の項目でも書きましたが、周りと違う行動をし、そこから何かしらの利益や評価を受け取ろうとする人を許さないのが日本の空気です。
足並みを揃えない人を晒上げ、叩くことで個人プレーにリスクを臭わせ、村八分や批判といった恐怖で和を乱さないように統治するのが「同調圧力」です。
村八分や批判は多くの人が恐れてしまうため、本来持っている個性や能力を出して突出することに恐怖し、多数派の目を気にして行動を合わせてしまうんですね。
多数派の目を意識させ、1人1人が持っている個性や能力を殺してしまうのも、「同調圧力」のデメリットと言えます。
意見が言いにくい環境になる
会社や地域など多くの対人関係の場面で、自分の意見が言いにくい環境を作ってしまうのも「同調圧力」のデメリットです。
日本人は自分の意見を言ったり、意見を戦わせるディベート能力が低いと言われていますが、1人よりもみんなを優先する「同調圧力」が要因の1つとしてあるでしょう。
みんなと違うことは悪とされ、同調することが善とする教育は学校からされており、例えば同じ体操服、同じランドセル、同じ給食を食べ、同じ価値観を持たぬ児童はいじめられるなど、同じがオンパレードの環境で育ちます。
その価値観のまま会社へ就職し、みんなと同じことをし続ける社員同士の環境に身を置き、さらにみんなと違うことは悪である価値観が強化されていきます。
このような環境で長期間過ごすと、多数派と違う意見を主張することは無意識に悪の行動をしていると思ってしまうため、発言することが難しくなるんですね。
生産性を上げるためにも、幸福度を上げるためにも、多くの意見を吸い上げることは必須でしょう。
しかし多くの貴重な意見を潰してしまうのが「同調圧力」であり、重大なデメリットなんですね。
同調圧力の空気に飲まれないヒント
ここまで「同調圧力」について解説してきましたが、「同調圧力」の影響を小さくし、自分の個性を発揮したり、幸福を追いかけることはできないのでしょうか。
人間社会に生きる以上、ゼロにすることは無理でしょうが、できる限り「同調圧力」の呪縛から解放されたいものですよね。
・メタ認知を意識
・誰かの意見を鵜呑みにしない
・自分を出せる場所を作っておく
ここでは上記3つの項目に分け、「同調圧力」の空気に飲まれないヒントを解説します。
メタ認知を意識
自分自身を客観的に見つめる「メタ認知」は、「同調圧力」対策に有効なテクニックでしょう。
「メタ認知」はアメリカの心理学者・ジョン・H・フラベルが提唱した概念で、「メタ認知」のメタとは「高次の」という意味があり、高い視点から自分自身を観察する思考法です。
例えば、地域の飲み会への参加の「同調圧力」が起きたとして、それを受けて自分が「面倒だ」や「不参加で非難されたくない」といった、ネガティブな思考や感情を抱いている事実を客観的に見つめる思考です。
「メタ認知」によって強制参加から逃れられるわけではありませんが、客観的な視点からネガティブな思考や感情を観察することにより、ストレスや苛立ちを小さくすることができるんですね。
「同調圧力」は嫌なものですが、回避し続けるのは難しいため、「メタ認知」は心の負担を小さくするために覚えておいて損のないテクニックでしょう。
ここ数年ブームとなっている、「マインドフルネス」や「瞑想」にも「メタ認知」の概念が含まれていますので、気になった方は検索してみてください。
参考:NHK
誰かの意見を鵜呑みにしない
「誰かの意見を鵜呑みにしない」ことも、「同調圧力」の呪縛の力を小さくするために有効です。
世の中の意見に絶対に正しいことなどなく、「同調圧力」によって維持されているルールであっても、絶対に正しいことなどないんですね。
まず意見それ自体を疑ってみる姿勢が大切で、ぜひ取り入れていただきたい思考法として「クリティカルシンキング(批判的思考)」があります。
「クリティカルシンキング」を簡単に説明すると、物事を見る時にあえて批判的に観察してみる思考法です。
人間関係で言うなら、誰かが言った意見や解釈に反論材料を見つけ、「本当にベストなやり方?」や「他に選択肢がない?」といった、反対意見を持つ考え方ですね。
「クリティカルシンキング」が身につくと、周囲の意見やルールなどについて、具体的におかしい点や不合理な部分を見抜きやすくなるでしょう。
おかしな点を見抜くと、その意見に対して反感を抱くようになり、自分自身の意見や行動に「こうした方がいい」といった意思が宿り始めます。
意思を持った人の心は強く、「同調圧力」に対しても毅然として立ち向かえる場面が増えることが期待できます。
もちろん「同調圧力」全部を拒否するのは難しいですが、例えば飲み会の参加を2回に1回は不参加にするなど、少しずつ自分の意思を持てるようになるんですね。
参考:LEARNING AGENCY 「クリティカル・シンキング」の意味と鍛え方
自分を出せる場所を作っておく
会社や地域といった、「同調圧力」が起こる場所以外に自分の居場所を持つことも大切になります。
人は何か1つしか依存する先がない場合、その1つの場所によって行動も幸福度も決定されてしまいます。
しかし複数の依存先を見つけて置き、その中でも自分本来の姿をさらけ出せる場所を見つけておけば、不条理な「同調圧力」によって擦り減らされた心と、身体の疲労を回復させてくれるでしょう。
趣味、友達、家族、副業など何でもよいので、素に近い自分が出せる場所を見つけてみてくださいね。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
日本全体に蔓延している「同調圧力」はとてもストレスになりますし、私たち1人1人の貴重な時間や機会を奪っていて、とても残念な現象ですよね。
もちろん、足並みを揃えて協力し合うことも社会を維持するためには大切ですが、どう考えても無意味な「みんなと同じ行動」があらゆる場所で起きているのが、日本の「同調圧力」の悪しき側面でしょう。
本記事で「同調圧力」の仕組みをご理解いただき、「同調圧力」を適度にかわしながら上手に付き合っていける方が増えてくだされば幸いです。